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Thursday, December 3, 2020

集団登校待つ女児、男に切りつけられ負傷…集合場所は見守り「手薄」 - 読売新聞

 静岡県藤枝市で2日朝、登校前の小学生の女児が男に足を切りつけられて軽傷を負った。男は傷害容疑で静岡県警藤枝署に逮捕されたが、市内では2年前も下校中の小学生が刃物で襲われて大けがを負っており、様々な対策をしてきたはずの関係者は動揺している。登下校中の子どもが狙われる事件が全国的に相次ぐ中で、万全策の難しさを改めて示した。

 藤枝署によると傷害容疑で逮捕されたのは藤枝市内の無職の男(24)で、2日午前7時半頃、集団登校の集合場所にいた女児の足をプラスチック片で切りつけ、軽傷を負わせた疑い。女児はそのまま学校に集団登校し、学校で教員らに被害に遭ったことを告げた。署員らが現場付近にいた男を発見し、緊急逮捕した。責任能力の有無について慎重に調べる。

 幸い軽傷で済んだものの、関係者に与えた衝撃は大きい。

 市内では2018年6月、下校中だった小学校4年生の男児が少年に切りつけられ、大けがを負う事件があったからだ。藤枝市は市内の全小中学校に防犯カメラを設置したほか、県警との情報共有を強化するようになった。任意で見守り活動を行う市民が18年の事件以降に数百人も増え、現在は1900人以上が登下校時の児童の安全に気を配っている。

 今回の事件は、こうした見守りの目が集中する登下校の路上ではなく、集合場所で起きた。ある意味で「盲点」と言える場所だった。藤枝市教育委員会は今回の事件を重く受け止め、市内の小学校へ保護者らに集合場所の安全確認を求めるように要請したという。

 登下校中の子供が狙われる事件は後を絶たない。17年3月に千葉県で、18年5月に新潟市で、それぞれ登下校中の小学生女児が連れ去られて殺害される事件が起きた。川崎市では19年5月、スクールバスを待つ小学生らが襲われ、近くにいた大人の男性を含めて死傷する事件が起きた。

 政府は登下校防犯プランを策定し、全国の公立小学校に通学路の安全点検を指示した。県内を含めた自治体側も登下校の状況を撮影する防犯カメラの設置など対策を進めてきた。こうした中でも、藤枝市のような新たな事件が起きてしまう。

 県教委の担当者は「防犯カメラは抑止になることはあっても、突発的な事案を防ぐことは出来ない」と打ち明ける。東京学芸大の渡辺正樹教授(安全教育学)は、「集団を狙うのは珍しく、今回のようなケースを防ぐのは難しい。それでも不審者への監視は効果があり、見守り体制を緩めることなく続けることが大切だ」と指摘する。

 県警は対策として、知らない人が来るなど周囲の不審な行動を子どもたちに警戒させることが重要とする。人身安全対策課の担当者は「とにかく近付かない。相手が来れば距離を取り、周囲に助けを求める」と強調したうえで、「防犯ブザーや防犯用の笛を子どもに持たせるだけでは意味がない。使う場面をきちんと教えることだ」と述べた。

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