選挙戦最終日となった３０日、各党の党首が選んだ「最後の訴え」の場所からは、それぞれの戦略が垣間見えた。
岸田首相（自民党総裁）は午後７時２９分、東京都品川区のＪＲ大井町駅前で「東京３区は大激戦だ。何としても押し上げていただきたい」と訴えた。首相はこの日、埼玉、神奈川、東京の接戦区を回り、９か所目となる最後を東京３区で締めくくった。
安倍元首相は２０１２年の衆院選で、ＪＲ秋葉原駅前で最後の演説を行い、民主党から政権を奪還した。以降、縁起をかついで計５回の国政選挙を秋葉原で締めくくり、全て勝利を収めた。これに対し、岸田首相は激戦区をぎりぎりまで回った。「安倍色が強い秋葉原は避けたい」（自民党関係者）との思惑もあったようだ。
公明党の山口代表はこの日、都内各地を走り回った。比例東京ブロックの２議席を死守するため、最終盤は東京中心に街頭演説を繰り返した。最後は都営地下鉄船堀駅前（江戸川区）で比例東京ブロック候補と並び、「あと一歩。皆さんが頼りだ」と訴えた。
立憲民主党の枝野代表は、前回の１７年衆院選と同様、地元を最後の場所に選んだ。午後７時半、さいたま市のＪＲ大宮駅前で「ようやく政権を選んでもらう、もう一方のリーダーとして選挙戦を戦うことができた」と地元の聴衆に語った。
共産党の志位委員長はＪＲ新宿駅西口で、「自民党を断崖絶壁まで追い詰めている。政権交代を実現しよう」と拳を振り上げた。志位氏は無党派層への浸透を狙い、国政選の最後の演説は新宿駅や池袋駅などターミナル駅前で行っている。（おわり）
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