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Friday, April 30, 2021

“コアな人”集う場所に 天王寺区の多目的サロン - 大阪日日新聞 - 大阪日日新聞

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大阪ニュース

2021年5月1日

 戦災に焼け残った昔ながらの狭小住宅が並ぶ細長い路地裏に、プライベートな住居と地域に開かれたスペースが共存する場所がある。「オンガージュ・サロン」。縁側でお茶を飲む近所づきあいを演出し、ミニコンサートや一人芝居、朗読劇、絵本に演奏をつけて上演する「音楽絵本」、哲学カフェなどさまざまなイベントを実施する。広告代理店で主任研究員を務める朱喜哲(チュヒチョル)さん(35)とピアニストの呉多美(オオタミ)さん(48)夫妻がサロンを運営し、「いろんな人が出入りするスペースを提供したかった」と話す。

プライベートな住居とパブリックスペースが同居する「オンガージュ・サロン」=大阪市天王寺区
コロナ禍以前に行われたイベント。収束後は再び仲間が集うようにと願う

 サロンの場所は、大阪市天王寺区勝山3丁目。呉さんはこの土地で育ち、実家の建て替えに合わせて、2世帯住宅を兼ねた芸術・文化を創造する多目的レンタルスペースを造ることを計画。建築家とともに約2年の構想を経て、2016年4月にオープンした。

 「オンガージュ」とは、サルトルの哲学用語「アンガージュマン」に由来し、芸術家が社会参与するという意味がある。

■とんがった企画

 サロンではピアノ教室を開き、「居留守文庫」(委託販売)も常設。不定期のイベントとして「採算を度外視した企画」(朱さん)を打ち出し、“その道”に興味がある人たちが集う“コアな場所”を提供してきた。

 哲学をひもとき、バッハの演奏法についての解釈の違いを分析するなど「多くて30人くらいなので、ありふれた企画ではないニッチなもの」を夫婦ともども楽しみながら催す。演奏家や演者、作家などの表現者と一般の人を「等身大の近距離でつなぎ、表現者がありがとうを返せる場所にしていきたい」と朱さん。これからも採算ベースではない、顔と顔が見える“とんがった企画”を考えていくつもりだ。

■空間の可能性

 新型コロナウイルス禍にあって、昨春から人が集うイベントの開催は難しくなったが、文化庁の芸術活動継続支援金の交付を受けてカメラやマイクなどの機材を購入し、動画配信をスタートさせた。さらにリモート配信スタジオとしての環境も整えた。

 「コロナによって、いろいろな形を模索している」と、2人はサロンの可能性を追求。リモートでは視聴者との距離が遠く、リアルな手触り感を出すことは難しいが、小さな試みを積み重ねている。

 「個人やクリエーターのやりたいことを支援し、応援し続けていく。スペースは理想的なので、後はソフト面を進化させていきたい」。コロナが収束し、同じ趣味を持つ仲間が集い学び、再び音が響く“解禁の日”を心待ちに、2人はこの空間の可能性を信じる。

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