デイヴィッド・シュクマン、BBC科学担当編集長
新型コロナウイルスの感染者が世界全体で1000万人を超えた。世界保健機関(WHO)は、コロナ禍が新しい危険な段階に入ったと警告する。
西欧やアジアでは多くの国が、新型ウイルスをある程度、制御できている。しかし、世界の他の地域では感染拡大が加速している。
世界全体で最初の100万人の感染が確認されるまでに、3カ月かかった。しかし、直近の100万人はわずか8日間で確認された。
しかも、この人数はウイルス検査で陽性と確認された人に限られる。つまり、南米の政府幹部が言うように、おそらく「氷山の一角」に過ぎないのだ。
感染者が急増している場所は
北米と南米、南アジアとアフリカの一部では、感染者数のグラフはまったく望ましくない方向に向かっている。
アメリカでは、ただでさえ感染者数と死者数が世界最多だったところに加えて、あらためて予想外の急増を見せている。ここ数日の内に1日に新しく感染が確認された人数は過去最多の4万人に達し、その人数は増え続けている。特にアリゾナ、テキサス、フロリダ各州でクラスターが爆発的に多発している。
これは感染の「第2波」ではない。むしろこれは、第1波が収束しないうちから感染が再発した状態だ。その多くは、ロックダウン(都市封鎖)の規制を緩和した州、おそらく緩和を急ぎすぎた州で、この減少が見られる。
アメリカに次いで感染者数が100万人を超えたブラジルでも、感染が危険な状態で急増している。特にサンパウロとリオデジャネイロの大都市の被害が深刻だが、ブラジルのほとんどの地域はウイルス検査の実施件数が少ない。そのため、実際の感染者数ははるかに多いはずだ。
似たような事態がインドでも起きている。日別の新規感染者数が最近、過去最多の1万5000人に達した。しかし、国内でも特に人口の多い州で検査があまり実施されていないため、コロナ禍の実際の被害規模ははるかに大きいはずだ。
なぜこういうことになっているのか。発展途上国の貧しく人口過密な地域は、感染被害を受けやすい。WHOのデイヴィッド・ナバロ特使は、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」が「貧しい人の病気」になってしまったと言う。
1部屋しかない狭い家に一家がつめこまれひしめきあって暮らしている状況では、社会的距離の維持など不可能だ。そして、水道がなければ、手を頻繁に洗うのも難しい。誰もがその日暮らしをするしかない場所では、道路や市場で不特定多数の人と接触するのは避けられない。
アマゾン熱帯雨林など都市から離れた地域の先住民にとっては、医療へのアクセスは限られている。まったくない場合もある。
さらに多くの場合、感染率そのものが心配なほど高い。メキシコでは検査を受けた人の過半数が陽性だった。その割合は、ニューヨークやイタリア北部などのホットスポットで特に感染被害が甚大だった時期と比べても、さらに高い。
予算が少ない場所では、医療現場の最前線に立つ医療者が必要とする個人用防護具(PPE)は、ますます深刻に不足する。
エクアドルでは一時期、死者の急増に当局が対応しきれず、遺体が往来に捨て置かれていた。また、国内有数の検査機関でさえ、ウイルス検査に必要な薬品が足りなくなってしまった。
そして、すでに経済が弱い国では、感染拡大を防ぐためのロックダウン(都市封鎖)強制は、先進国よりはるかに深刻なリスクを伴う。
ナバロ博士は、感染拡大のペースを遅らせることはまだ可能かもしれないが、それには国際的な支援がただちに必要だと言う。
「悲観的なことは言いたくないが、物資や資金を必要とする人にそれが届くのかどうか心配している」
政治的な側面
けれども、感染が急増する理由は貧困だけではない。多くの政治家は、政府の医療専門家の助言を無視している。自分ならではの理由をもとに。
アフリカでは、タンザニアの大統領が大胆にも、自分の国はウイルスを倒したと宣言した。COVID-19は今なおタンザニアにとって脅威だという様子はうかがえるものの、ジョン・マグフリ大統領は5月初め以来、公式データの公表を阻止している。
アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領が新型ウイルスの威力を低く評価したり、中国やWHOを責めたりして、ともかくもアメリカ経済を早く再開させようとした。
トランプ氏は、テキサス州のグレッグ・アボット州知事(共和党)がいち早く、州のロックダウンを解除したことを高く評価した。しかし、アボット知事は6月末になって、感染者急増を受けて行動制限をあらためて強化している。
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アメリカ政府は4月初めから公の場ではマスクをつけるよう勧告してきたものの、それすら政治的な分断と対立のシンボルになってしまった。
テキサス州のアボット知事は、各都市の市長に対して顔を覆う施策を強制することを禁じ、「個人の自由は損なわれない」と話した。これとは対照的に、民主党に所属するカリフォルニア州知事は、「顔を覆ったりマスクを着用することに効果があると科学が示している」と話した。トランプ大統領は今なお、マスクの着用を拒否している。
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ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領も、同じような論争の渦中にある。COVID-19は「ちょっとした風邪」に過ぎないと発言していたボルソナロ氏は、経済活動を阻害しかねない対策にことごとく待ったをかけてきた。さらに、大勢の人がいる公の場所にマスクをしないまま登場し続ける大統領に対して、ブラジルの裁判所はついに、マスクを着けるよう命令するに至った。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長が、目下の最大の脅威はウイルスそのものではなく、「世界的な連帯と世界的な指導力の欠如だ」と発言したのは、一国の指導者たちのこうした態度を念頭に置いてのことだった。
感染を制御できている様子の場所は
太平洋に浮かぶ群島のニュージーランドは自国を外国から簡単に隔離することができる。ジャシンダ・アーダーン首相率いる政府はきわめて積極的な感染対策を徹底させて広く称賛された。最近では24日間、新規感染者ゼロという記録を達成した。
しかしその記録は、外国から帰国した感染者によって中断。その後は、入国時の検疫強化が必要となった。
同様に、韓国も最新技術の活用と接触者追跡を徹底することで、感染者数をごく少数に抑えたと高く評価されている。最近では3日連続して新しい感染者がゼロだった。
その韓国当局によると、韓国には今や第2波が訪れている。首都ソウルのナイトクラブで、クラスターが発生しているものの、人数は比較的少ない。
ソウルの朴元淳市長は、もし3日連続して感染者数が30人を超えたら、社会的距離の維持を強制する措置を再び実施すると警告している。
対照的にイギリスでは現在、1日に約1000人の感染者が新しく確認されている状態だ。
自国の感染対策が成功したと特に誇らしげなのが、ヴェトナムだ。COVID-19による死者はゼロだと、政府は話す。ロックダウンをあっという間に実施し、国境封鎖を徹底したのが、ヴェトナムの感染抑制につながったと言われている。
では、ここから先はどうなるのだろう?
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とりわけ大きい疑問符となっているのが、アフリカだ。アフリカでは多くの国で、懸念されていたほどの被害がまだ報告されていない。
この理由として、ウイルス検査を大々的に実施するインフラが欠けているため、ウイルス感染の実態が見えにくくなっているという意見もある。その一方で、アフリカの人口構成は相対的に若いため、発症する割合が低いのではないかという説もある。
さらに、外の世界と接触する機会が比較的少ない地域は、パンデミックの影響を最後まで受けにくいのではないかという見方もある。
新型ウイルス抑制に特に成功した各国にとって今後の課題は、何らかの平常に近い日常を復活させながら、いかに警戒態勢を維持するかだ。
しかし、その他の国の大多数にとっての現実は、ナバロ博士の厳しい予測にほかならない。つまり、「新型コロナウイルスに感染した人、そしてそれに伴う困難に苦しむ人が、引き続き増え続ける」状況だ。
だからこそ、博士を含めて大勢は、途上国が必要な援助を今の内に受けられるよう願っている。この危機がこれまで以上に悪化する前に。
(英語記事 Coronavirus: Where are global cases rising and falling?)
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June 27, 2020 at 02:00PM
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【解説】 新型コロナウイルス、感染者数が増えている場所と減っている場所は - BBCニュース
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