
秋が一気に深まって木の葉が風に舞い始めた。
それを眺めていたら、「芋煮会」をやる約束を思い出した。
このまま秋の感傷に浸っていたら、あっというまに木枯らしが吹きまくる季節になってしまう。
急がねば、と。
そんなわけで、食堂で顔を合わせた数人で、急(きゅう)遽(きょ)、芋煮会をやることになった。
場所は「原っぱ」。
この新型コロナウイルス時代では密を避けるのが大事。
そんなとき、「原っぱ」に目を付けたのは先見の明があるね、なんて言われたけれど、むろん、そんなことなど考えてもいなかった。
それよりも、この原っぱの隣には「好き勝手農園」なるものがあった。
この農園は、散歩の途中に、勝手に収穫し、勝手に自分で金額を決めて缶に入れておけばいいよ、という太っ腹の主宰者が運営している。
その畑には、主役の里芋ばかりか、大根、ゴボウ、こんにゃく芋、下仁田ネギなどが、今か今かと収穫を待っていたのだ。それらを大鍋で煮てみんなで食べればいい、と私は考えていた。
けれど、始めたら「お椀(わん)はどうする?」「大きいお鍋がないよ」などと、物をそろえている間に開催日が近付いてくる。
なんとか、3日前に畑に集合して芋掘りと芋洗い。翌日に調理の下準備。煮込むのは当日の朝、ということになった。
その日は晴天で、原っぱの中央に据えただるまストーブの煙突から、白い煙が空へと立ち上った。
椅子やベンチをあちこちに置くと、それだけで、「原っぱ」が美しい秋の風景の中で、素(す)敵(てき)な会場に変貌してくれた。
人は来ても来なくても、いいよねえ、となりゆきで始めた芋煮会だったが、さすがに60~80代の女性たちはすごい。
みんなとんでもなく料理上手なのだった。
牛肉をたっぷり入れた芋煮が、そりゃあ、美味(おい)しいのなんのって…。
気がつけば、地域の人たちも口コミで集まってきて、「原っぱ」にはごった返すほどの人が訪れ、談笑し合う場となった。
この集まりを体験して知った。
ここではもう、なにごともなりゆきまかせで大丈夫。頑張らなきゃ、の時代はもう、とうに過ぎ、やることに格別の意味も意義も求めずともいい。
人が、好き勝手に集う場が、そこにありさえすれば、と。(ノンフィクション作家 久田恵)
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November 13, 2020 at 06:02AM
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