
犯罪に関する報道がなされると、犯人・容疑者の過去や動機に注目が集まります。しかし、防犯の観点から考えると、過去も動機も重要ではありません。それらは他人にはコントロールできない上に、動機だけで犯罪は起きないからです。何よりも犯罪の実行に欠かせないのは「チャンス」です。機会さえ与えなければ、犯罪を実行に移すことはできません。つまり、防犯とは「犯罪のターゲットにならないための方法」といえます。
「ターゲットに選ばれない」ことの重要性
まず、防犯のポイントを筆者の専門である「警護」と比べて説明しましょう。警護と防犯とでは、想定している犯罪者が異なるのです。警護が主に警戒するのは「反社会勢力」「ストーカー」「依頼人に恨みを持つ者」など、特定の人物や組織です。対して、防犯は「空き巣」「ひったくり」「痴漢」など、不特定の犯罪者に対するものです。両者は犯行の目的が違うので、“獲物”(ターゲット)に対する執念にも違いが出ます。 獲物を決めている前者は多少の困難では犯行を諦めませんが、獲物が誰でもよい後者は実行が難しそうなら、獲物を変更することもあります。結果として、警護の目標は「犯行の難易度を上げて諦めさせる」こと、防犯は「犯行のターゲットにならない」ことになります。犯行への執念が強い者の襲撃を食い止めることは簡単ではありません。しかし、ターゲットに選ばれないことであれば、習慣化で実現できるのです。
確認すべきは「日常に潜む危険地帯」
犯罪者に“目印”はありません。ボディーガードである筆者はこれまでの経験により、ある程度の見分けはつきますが、危険な人物を断定することはボディーガードでもできません。そもそも、「不審者」とは何でしょうか。マスクにサングラスの人物、唐草模様の風呂敷をかついだ人物を思い浮かべる人もいるでしょうが、それらは不審者の“アイコン”であり、実際にそんな風貌の犯罪者がいないことは誰もが知っています。 ただし、これは大人にとっての常識です。子どもの場合、「悪い人はそういう格好をしている」と思い込んでいることが少なくありません。つまり、「不審者に気を付けろ」という教えは無理難題といえます。確認すべきなのは、不審者よりも日常に潜む危険地帯です。「犯罪者」は十人十色ですが、犯罪が発生する「状況」には多くの共通点があるからです。 空き巣やひったくりをはじめとする多くの犯罪者は金額や見返りの大きさよりも、犯行が成功しやすい状況と相手を選びます。成功率の判断材料は「侵入と逃走が楽な場所」「人目に付きにくい場所」、そして、「犯行が楽な相手」の3つです。逆にこれらが満たされなければ、大抵は犯行を諦めます(通り魔など、ゆがんだ承認欲求を持つ犯人は除く)。逃げることを考えない犯罪者にとって、「犯行が楽な相手」以外は重要ではありません。 ただし、実際に遭遇する可能性が高いのは、ニュースにならない窃盗や性犯罪です。漫画「進撃の巨人」の舞台は3重の防壁が敷かれた「マトリョーシカ構造」をしていました。王族などはこの中心に住み、より多くの防壁に守られます。これは犯行の意欲を大きくそぎ落とすもので、防犯の理想形です。しかし、現実には、自宅の塀を何重にもすることはできません。 そこで代わりになるのが壁以外の障害です。例えば、2重鍵、音の出る砂利、センサーライト、窓用ブザー、ガラスフィルムといったアイテムと、ご近所付き合いや地域の清掃といったコミュニケーションから生まれる“地域の目”です。こうした犯行の障害となるものをいくつか組み合わせると“壁”と同じ働きをします。
からの記事と詳細 ( 犯罪者はどんな人、場所を狙う? 犯罪のターゲットにならないための心得とは(オトナンサー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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