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Wednesday, May 13, 2020

【野球がぜんぶ教えてくれた 田尾安志】周り斟酌できるのは日本の強味 - 産経ニュース

医療従事者支援のために寄付を行った巨人の原辰徳監督(撮影・桐山弘太)
医療従事者支援のために寄付を行った巨人の原辰徳監督(撮影・桐山弘太)

 緊急事態宣言が今月末まで延長された。われわれ国民は、我慢の生活が続く。プロ野球も簡単に開幕時期を決められない。選手は耐えなければならない。

 かつて、野球の世界は軍隊のようだった。子供の頃、バットで尻をたたかれる罰を受けた思い出を持っている人も多いだろう。アマチュアだろうと、プロだろうと、叱る際に指導者が当たり前のように手をあげる風潮があった。

 現役のころ、遠征先の宿舎は1軍でも、1人1部屋ではなかった。東京遠征のときは和室で、大先輩の江藤省三さん、梅田邦三さんとの3人部屋。プライベートなんてなかった。

 広島では、8人部屋に泊まることもあった。昼間に2軍の試合に出場し、夜は1軍の試合に出る「親子ゲーム」だと、午前8時に宿を出発しないといけない。ずっとグラウンドにいるので、体はくたくた。早く眠りたい。なのに、先輩たちはマージャンに興じている。布団を敷こうとすると「もう寝るのか」と言われる。なかなか就寝させてもらえず、まいったものだ。

 こんな環境が当たり前だった頃、選手は球団に言いたいことも言えなかった。その分、精神力が鍛えられた。厳しい状況で勝ち抜かないと、プロで食っていけない。誰もが自分のことで精いっぱいだった。

 今はフリーエージェント(FA)権をはじめ、さまざまな選手の権利が認められている。立場も強くなった。球団は選手の言い分を可能なかぎり聞き入れるようになっている。遠征先の宿舎も、時代とともに高級ホテルの個室に変わった。

 変化は悪いことではない。心に余裕が生まれ、他者を思いやれる指導者や選手が増えた気がする。新型コロナウイルスと戦う最前線の医療現場を支援するため、巨人の原辰徳監督や選手らが総額5千万円を東京都に寄付した。「野球人も、こういうことができるようになったんだ」と感慨深かった。

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