
東京オリンピックの新競技・サーフィン日本代表の前田マヒナ。日本人の両親のもとハワイ・オアフ島で生まれ、幼い頃からサーフィンに慣れ親しんできた前田が目指すのは金メダル。そんな彼女が明かす2つのルーツ、ハワイと日本への想い。そして、なぜ米国代表ではなく、日本代表として今大会に挑むことを決めたのか。ザ・プレイヤーズ・トリビューン・ジャパンで独占公開する。
■ ふたつの場所を代表することの意味 ■ Story by 前田マヒナ
もしも20年前にオアフ島のノースショアに訪れたことがあるならば、そこでビーチに座っている少女を見かけたことがあるかもしれません。 その少女はきっと3歳くらい。腕に浮き輪をつけて、頭にきつく締めたピンクのゴーグル。その子はとても不思議な行動を取っています。ちょうど波が打ち寄せてくるところに座り、わざと水に飲み込まれていたのです。そしてまるで魔法を使ったかのように、海の中に消えた場所から数メートル離れた場所からポンと飛び出てくるんです。大きな笑顔、そして頭の先から爪先まで砂だらけ。 その少女が、私。 私はとある“型”を学んでいる最中。“型”はちょっと言い過ぎかな。子供が子供らしい遊びをしていただけ。実はそんなことしてたのは覚えてもいないのだけど、お父さんがいつもこの話をするの。 「マヒナ、お前はいつも波打ち際に座っていて…」 「お父さん、もう何度も聞いたよ!」 記憶には残っていないかもしれないけれど、魂は覚えている。 私と海の繋がりは、そこで始まった。お姉ちゃんは私ほど海を愛してはいなかった。幼い子供にとって、水を怖がるのは普通のこと。でも私は、なんだろうな、自分の居場所だって感じたの。私が通っていた小学校は、パイプラインっていうノースショアの最も象徴的なサーフィンスポットの近くにあったの。毎日授業が始まる前に、私はカメハメハ・ハイウェイの向こう側に広がる海で、たくさんの人が朝のサーフィンをしているのを眺め、下校の時も自転車に乗りながら眺めていた。 サーフィンは、いつもそこにあるものだった。 ハワイで育つと、そしてノースショアで育つと、サーフィンはスポーツ以上のもの。 自分たちを表現するためのものなの。
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